漢方薬の誤解
漢方は確かに西洋化学薬と比べると自然にあるものからつくられて優しいイメージがありますが、健康な人にとっては有害になる成分もあることから、飲まないに越したことはありません。
また、漢方薬の種類もピンキリで、煎じて飲むものにも栽培方法や加工方法によりグレードがあります。
加工の過程で添加物が多かったり、農薬が大量使用されて栽培された漢方はかえってよくないかもしれません。
薬に頼らない身体づくりが大切なのはこのような背景があるからです。
漢方薬にも副作用がある
対症療法で使われる薬は、消化管で吸収されたあと血流を通じて全身に巡り、作用します。
標的の部分に効果を示してもほかの部分にとって有害になるのを副作用といい、西洋化学薬とメカニズムは同じです。
漢方薬の代表的な副作用
消化管障害(胃もたれ、吐き気、下痢、腹部膨満感、食欲不振など)、肝機能障害、倦怠感
もし、自覚症状がこの中にあれば、「薬のせい」も疑ってみましょう。
複数の種類の薬を飲んでいるなら、数の多さによる負担意外に組み合わせの問題が判明するかもしれません。
実は医師よりも薬剤師のほうが薬には詳しいです。
漢方薬で内臓疲労を起こしていたケース
頭痛、めまい、食欲不振、強い倦怠感、肩こりがあり、学校に行けなくなって起立性調節障害と言われた中学生の女の子のケース。
処方された漢方薬やいいといわれることを端から端まで取り組んでいるが、いまいち結果が出ない。
内臓が硬く血流が悪くなっていました。
たくさんやりすぎて何が効果があってないのかの検証ができていなかったことと、良かれと思って取り入れていることが逆に身体の負荷になっている可能性を指摘。
医師と相談しながら少しずつ引き算していくようおすすめしました。
結果、血圧を上げるための薬はあってもなくても変わりがなかったことから自己判断で控えたところ、少しづつ体調がいい日が増えて、食欲も戻ってきて回復に向かいました。
漢方ではないけど…起立性調節障害の薬の影響のケース
酷い倦怠感、頭痛、吐き気、めまい、食欲減退、感覚過敏で来院された中学生の男の子のケース。
小児科でサインバルタを処方されてずっと飲んでいるがよくならないので別の手段を探しているとのこと。
友達と遊んだりはできる。学校や家に対してのストレスを抱えていて自分の居場所がない。学校に行きたいとは思っていないと話してくれたので、起立性調節障害というよりはストレスを身体で表現していると思われる。
サインバルタの副作用
吐き気、傾眠、口渇、頭痛、便秘、下痢、めまい、腹部痛、不眠、倦怠感、食欲減退、高血糖、嘔吐、体重増加、腹部不快感、発疹、かゆみ、じんましん、接触性皮膚炎、光線過敏反応、血管浮腫、皮膚血管炎など
異常な興奮、血圧の上昇など重大な副作用
呼吸困難、痙攣、血管浮腫、蕁麻疹等を伴うアナフィラキシー反応
(インターネットより引用)
なぜ中学生にサインバルタが処方された?
サインバルタは抗うつ薬として有名で、それ以外に神経痛に処方される場合があります。
脳のセロトニンやノルアドレナリンを上昇させることで抗うつや抗不安、疼痛緩和を目的にします。
子どもに対してサインバルタは慎重に処方するものです。
成長期の体内はとても不安定で繊細なのと、依存性があって離脱症状や禁断症状があるからです。
薬で脳内物質を変化させるということは、ほかの内分泌系にも大きな影響を与える「脳内かく乱物質」ともいえるからで、その副作用は全身に影響します。
一番の懸念は、薬を飲んでいても本人が薬の効果を感じて生きるのが楽になっていないということでした。
ですが私たちは薬に関して患者さんに処方やアドバイスをすることは法律で禁止されており、ご本人または未成年であれば保護者の方の判断と自己責任にゆだねられます。
薬は治さない
起立性調節障害で使用される薬は漢方薬でも西洋薬でも副作用がつきもので、副作用と起立性調節障害の特徴的な症状が重なっているため、薬の効果は当院ではあまり実感していません。
とはいえ、急にやめるのは危険ですし、症状による苦痛もつらいので薬を利用してしのぐことは否定しません。
ですが頼っても一時的にし、効果がわからないなら検証してもらう必要があります。
同時に根本的なことを改善すること、薬がかえって身体をつらくさせていることがある可能性も念頭に置きつつ使わなければなりません。
薬が長期的になると何も考えず飲み続けてしまいますが、本当にそれで効果が出ているのか、副作用が飲んでいる薬のせいで起きていないか定期的に確認してください。
子どもがもともと持っている生命力を考えれば、あまり薬には頼らない方がいいと思います。