複雑な五感の役割
私たちは五感を使っていろいろなことを経験しています。
当たり前のように使っている五感ですが、単に口にしたものの味や、におい、目に見える、音として聞こえることだけではなく、苦い経験、甘い誘惑…のように、実体がないものにも関わっています。
単なる五感と、実体のない五感。みんなそれぞれのフィルターを持ち合わせているので、同じ出来事でも見方やとらえ方は違いますし、同じものでも人によって好みがあります。
五感の発達過程
五感は胎児期にはほとんど活性化しておらず、聴覚で母親の心音や消化器の音を「感じている」くらいです。
お母さんも胎児にとっても出生時は一種のショックを伴います。胎児はそれらを切り抜けられるように生まれる直前にアドレナリンを急上昇させます。
そして母親の身体から離れると、五感を鋭くしていち早く環境に適応しよう(お母さん探し)とします。
いきなり知らない世界に放り出たらパニックです。
そこで母親の胸に抱かれると、安心した場所(子宮の中)で感じていたのと同じ心臓の音、温度、触れ合う肌の感触が母親と結びつき再び安心します。
そしてアドレナリンは分泌が落ち着いて五感がバランスよく働き始めます。
それから、母乳の味、汗のにおい、声などほかの五感も使って母親との結びつきを強め、お母さんの存在、大丈夫という認識をつくっていきます。
「安心、大丈夫」と思えるから、子供は好奇心をもって外の世界に冒険ができるようになるのです。
五感は「世界とどうかかわるか」に影響する
緊急時を除いて自然分娩が理想とされる理由の一つは、出産の過程は母親の身体にも赤ちゃんの発達にとってもには完ぺきな意図とプランがあるから。
出生時の何かで母親と引き離されたりしてアドレナリンの上昇が落ち着かないままだと、五感と交感神経の過活動モードが一緒に結びついてしまい、感覚過敏になることがあります。
ストレスレベルが下がらないので危険に対して即座に反応しようとするからです。
私たちのこの小さい時の五感の育ち方が、成長した時の物事のとらえ方にも影響します。
五感は敏感ですがバランスが悪く、特に視覚の発達が遅れます。
大人の都合で子供を病気にしない
他の子と違う何かを、発達障害、〇〇障害のようにラベルを付けてしまうのは簡単なことですが、子供は純粋。自分自身が感じたことに素直に反応して生きています。
感じるための道具となる五感がは育て直すことで改善が可能です。
逆に性格の問題などとされていたら自尊心が傷つき、自分を認められないまま大人になってしまいます。
今から何をすればいいか…子供の五感をバランスよく発達させる方法は、とにかく何でもさせてみること。
何が安全で何が危険かの知恵は、「危ないからダメ!」という親の経験値ではなくではなく子供自身の体験量にあります。
好奇心のままに見て、触って、聞いて、嗅いで…口に入れる!
口に入れる行為は「味わって確かめる」こと。子供が棒を持ち、マジックペンなのか鉛筆なのかを判断するのは味覚が重要なのです。甘い体験も苦い体験もしょっぱい体験も全部味わうことが豊かな人生。
もちろん誤嚥や誤食には気をつけますが、失敗と成功、快楽と苦痛の経験値を積んで私たちは自立していきます。
大人に必要なのは全部やってあげるのではなく、待つ力。
失敗や苦痛を体験した時に寄り添って励まし、またチャレンジしても大丈夫だという意識を育てるのは大人の「よしよし」です。
自立がないと、いつまでも親や大人がOKというかNOというかが重要で、自分で決められない子供が育ちます。
大人がもし、親の言うことに素直に従って生きてきたなあと感じたら、それが当たり前だと思ってしまい子供にも繰り返してしまう節があります。
時にはNoという勇気と許可をあげてください。イヤイヤ期も発達に必要な過程なんです。
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