低体温になる原因とリスク
日本人の平熱は36.5℃~37.2℃が平均でしたが、年々低下傾向にあり、平熱が36℃以下になることを低体温と呼んでいます。
低体温は万病のもと。その影響は全身に及びます。
免疫の働きや新陳代謝の低下、ガンや血圧の病気、糖尿病や高脂血症、自律神経失調症、うつやその他の心の病気の関係が指摘されています。
体温が低いと…
①免疫系の活動が低下する
ストレス下、寒冷などにより免疫は衰えます。
寒いところに長時間いたら風邪をひいたり、ストレスで体調を崩すのはこのためです。
反対に体温が上がるのは免疫の活動を活性化させる身体の反応なので、風邪をひいても熱が出ない人は症状が長引きやすい傾向にあります。子どもは高熱が急激に出てもサッと引くのは免疫が適切な働きをしている証拠。
熱はむやみに下げない方がよく、アスリートがウォーミングアップをするのは体を温めてパフォーマンス力を高めるのは理にかなっているのです。
②血流が悪くなる
体温が低いと熱を体外に逃がさないように血管が収縮します。末梢に血液が届きにくくなり、細胞が変質したり最悪の場合は細胞が壊死します。
必要な場所に必要な分の血液が届かなければその場所の機能も悪くなります。
脳であれば思考が不明瞭になったり、やる気がでなくなったり、胃腸であれば消化の問題が起きるでしょう。
糖尿病でも血液が糖でドロドロになり末梢の血管が詰まって壊死してしまう合併症がありますが、冷えている人の血流は血管そのものが細くなって血液が通りにくくなっていて、若干のメカニズムの違いがあります。
③細胞の新陳代謝が低下する
細胞に必要な栄養が届かなくなり、老廃物が早く蓄積してしまうため細胞の死=老化を早めることにつながります。
がん細胞も健康な細胞が作れなくなって増えてしまうものですが、前段階として細胞の変質が起こる前の血流の問題が関わっています。この頃は具体的な不調を自覚していないことも多いです。
健康な人でも常にがん細胞はつくられています。ですがガンにならないのは免疫が正常に働いていることと、変性する細胞の数が少ないからです。
低体温になる原因
①運動不足
体温を上げるには筋肉を使うことが必要です。内臓や血管壁も筋肉でできており、基礎代謝とは血管や内臓の筋活動によって消耗されるエネルギー量のこと。
筋肉を動かすとそばを走行している血管やリンパを刺激して流れを助けてくれるので、運動は体温をあげることと血流をよくすることのどちらにも有効です。
運動不足で熱の産生量や血液循環の低下を起こし、内臓の働きも弱っていると新陳代謝が落ちるため同じ量の食事でもエネルギーを使い切れなくなり肥満になりやすくなります。
寒くなると私たちは活動が鈍り省エネモードになりますが、身体の内部でも同じことが起きています。
②低血圧・高血圧
身体には血圧を上げる仕組みがいくつかありますが、下げる仕組みは多くありません。
有名なのはストレスで交感神経が緊張して血圧が上昇すること。
ですが寒さで身体が緊張する低体温も交感神経を刺激します。
血圧の問題は塩分ではなく自律神経のアンバランスです。
③空調に頼りすぎた生活
人間には暑熱順化、寒冷順化といって少しづつの気温の変化には対応できる仕組みがあります。寒い時に震えたり、熱い時に汗をかくのは体温調節システムのおかげです。
しかし現代はいつでもどこでも空調が効いているので体温調節システムを鍛える機会がなく、身体の力は衰えているのです。
真夏も真冬も空調を使うときはなるべく外気との温度差を少なくして徐々に身体に体温調節をさせられるように鍛える必要があります。
④塩分、ミネラル不足
塩は身体の正常な活動を助けます。細胞の中と外では塩分濃度が異なる「浸透圧」という仕組みが、細胞の内と外の物質の交換を促して細胞が健康に保たれるのです。
高血圧はクスリと減塩が常識と思われていますが、とたんに身体の冷えに悩まされ自律神経失調になった方がたくさんいます。先のとおり血圧の根本は自律神経。塩は生命維持に絶対必要なのですが同時にミネラルがなければなりません。
塩の質を変える。自然的製法でつくられたミネラル豊富な良質の塩を摂る。
悪質な塩を使うこと、糖質過多や加工食品の多い食事でミネラルを大量消費する生活は要注意です。
⑤栄養失調
体内には細菌や微生物がたくさんいて共生しています。
彼らは食べたもので消化できないものを代わりに食べて人間が使える栄養を作ったり、消化管内の免疫と深く関わっています。
抗生物質の多用や「きれいにしすぎる生活」によって腸内の微生物の生態系が崩れています。
野菜に含まれる栄養素も減少しており、食べているのに栄養が足りない人も少なくありません。
冷え・低体温の兆候
①体温調節がうまくできない
冷房ですぐに寒くなってしまう、お風呂でのぼせてしまう、汗をかけないなどです。
健康な人でも起こりうるのですが体温調節がうまくできていない人の場合は極端です。
②こりや疲れやすさ、つわり、高山病
必要な血液と酸素が充分に届かないので、身体がすぐに疲労します。
つわりになりやすい体質の人や高山病にかかりやすい人もたくさんいます。
③自律神経の乱れ
血液は身体が健康に働くのを助けているので血液がきちんと運ばれてこないと全身の機能やシステムに問題が生じ、不定愁訴と呼ばれる、いつもどこかしら具合が悪いような様々な不調が現れます。
生理痛や便秘、下痢も低体温が一因です。
④むくみや乾燥
低体温によって代謝が低下すると、体内での水分の使われ方にも問題が出て、むくみんでさらに身体を冷やしたり、反対に乾燥する場所も。
低体温を自分で改善する方法
①ミネラルが豊富な自然塩を食べる
身体に必要なミネラルは人によって違います。サプリメントに含まれる合成されたものより自然のものから摂取するのが望ましいです。
質のいい塩はミネラルが豊富でスムーズに排泄されるため常識的な使い方なら摂りすぎることはなく、昔の人は自然塩を20gとっていても平気だったのは塩の質が良かったからです。
②運動する
人間の生きる基本は飲食・呼吸・身体活動・精神活動。
ジムに行かなくても、多めに歩くなど日常生活で運動する時間を増やせます。
深い呼吸も関節や筋肉に動きを与えます。腹式呼吸と胸式呼吸、どちらにも役割があるので両方行います。
③ヘム鉄を摂る
鉄分の中でも吸収されやすい形がヘム鉄で、動物性食品に含まれています。魚の内臓、赤身肉に特に豊富なのですが、食べにくい方は丸ごと食べられる小魚をおすすめします。
④空調に頼りすぎない
もともとある「暑熱順化」「寒冷順化」という体温調節して環境に適応する機能は、使わないと退化しますが訓練しなおすことで取り戻すこともできます。
最近の真夏の暑さは異常な時もあり、急に変えようとすると熱中症になります。
順化は徐々にという意味。
外仕事やアスリートが熱中症にかかりにくいのは汗をかいたり、その環境にさらされている時間が長いので慣れているため。
一般的な生活をしている私たちでは、空調の温度に差を余りつけすぎないようにしたり、汗をかいて汗腺を鍛える、運動をして筋肉を使うようにするのを少しづつ取り組んでいきましょう。
習慣を変えれば体質は変わります。
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執筆者
かとう治療室
流山市南流山で整体・鍼灸(女性鍼灸師)・内臓調整を中心に総合サポートをしています。ボディートーク、エムレス等。つくばエクスプレス/JR武蔵野線 南流山駅より徒歩6分。駐車場2台分あり。不定休・完全予約制。お問い合わせはLINEかフォームが便利です。お電話の場合は留守電にお名前とメッセージを残してくださると折り返しご連絡いたします。